鯨フラミンゴ

すずきと 鯨フラミンゴ、そしてアメリカンバイソン。

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午後

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それを抱いて寝ていなさいって。

とてもかたくて胸に抱けば、それはあなたのトーマスの夢になるから。

(たまに頭の向きをかえてください。)

あなたのトーマスは笑いますよ。

いまはそういう遊び方がいいの。










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  1. 2014/06/12(木) 00:27:31|
  2. 彼の書き物のはしくれ
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断片1

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列車の中でさっき買ったワインをあけた。
産地はこの車両のむかう場所だ。
空瓶を届けに行くみたいで心が弾んだ。
ワインはすぐにあいた。
酔ってはいたが、とてもまじめにものをみることができた。
空には月が輝いていて、夜は澄んでいた。

トンネルをでると雪がふっていた。
わたしの声はふるえた。
暖かい車内にも透明な外気と真っ白な雪片が吹き込んできたようだった。
ホームは白く塗られた木材のようにそこにそっとおかれていた。
信号の色は赤い。こんな場所に止まる必要なんてあるんだろうか。
まわりには人っ子一人いない。
わたしたちは、列車の中におきざりにされた小人みたいだった。
一本ぽつりとたった暖色のライトに駅舎だけが照らされていた。

すべてが静かで、寒くて、真夜中だった。




  1. 2014/06/11(水) 20:37:26|
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玄関

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白い花をつけた雑草の葉が玄関の扉に挟まった。
挟まったまま鍵をかけても、また次の日に挟まった。

おかげでわたしはいまでも入り口と出口をおもいだせる。
正確に、正確に、以前より正確に。






  1. 2014/06/10(火) 22:50:27|
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夜の木

koyama1


しばらくしてから、へべれけ同士でどうにか階段をのぼり店をでた。
とても深い洞窟の底から這い上がってきたような気分だった。
外では知らぬ間に雨が降り、そして止んでいた。
黒いアスファルトが鯨の背中のように鈍い光をもって輝いた。
慣れないタバコの匂いが鼻に残っていて、雨の匂いと交わった。
胃液の味がするよりはましだと思うと悪い気はしなかった。



  1. 2014/05/24(土) 22:35:08|
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5月

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彼女はことあるごとに石をひろってはポケットにつめこんだ。

それは、ときがきたら上手い具合に沈んでいけるように、そしてこの不安定な人生のなかを

しっかりと浮いていられるようにだった。





  1. 2014/05/20(火) 21:51:20|
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古い新緑

きじとか 085



今日もまた、いつものおばあさん2人組はご近所の墨田さんの話をしている。
今度は、墨田さんが待ち合わせ場所に現れなかったのだ。おばあさんは2丁目のバス停のところで墨田さんを待っていた。
木陰に座っているだけで死んでしまいそうな暑い日だった。一時間がたっても墨田さんは一向に現れない。
おかしいわ。痺れを切らしたおばあさんは一旦家に帰って墨田さんに電話をかけてみた。
電話にはのほほんとした声の墨田さんがでた。
あらあらどうしましたの。その声に悪びれた様子は微塵もない。
そう、墨田さんは落ち合う約束をすっかり忘れていたのだった。

いつものおばあさん2人組はこの話を永遠に繰り返し話していた。
だからあともう少しで季節が一回転することも、あの夏の暑い一日を境にして墨田さんを見かけていないことも、
すっかり忘れてしまっているようだった。




  1. 2014/04/04(金) 23:18:16|
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遅延証明書

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電車のなかには、いつでもすっとんきょうな場所に話の山がつらなって、
ときにはそれが原因で電車を遅らせた。
そんなとき遅延証明書には、複雑な理由を適当に簡略化するために、たったひとことの魔法の言葉
「信号トラブル」とだけ記入された。
本当のことを話したい人にだけ、本当のことを話せばいい。
あるいは、本当のことを聞いてくれる人にだけ、本当のことを聞いてもらえばいい。
駅員と電車はそんな風にものごとを考えているようだった。



  1. 2014/03/04(火) 01:45:58|
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手つき

能登半島旅行+352_convert_20131109180200



馬にえさをあげるとき

指を動かしちゃいけないよ

そうやって富士の子は

みんなサファリで働くの



  1. 2014/01/25(土) 01:54:34|
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47の薬・再訪

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 ザリガニの住む美しい川には、いつかわたしが差し出した47の薬の島がひっかかって、
心地良さそうにくるくるとまわっていた。
ザリガニに聞いた話によれば、川と話をつけてうまい具合にそこに留めておいてもらっているらしい。

 どうしたらそんな取引ができるのかと尋ねると、君たちにはわからないと彼は白を切った。
その感じがすこし気に入らなかったのでわたしは不機嫌になった。
そして、いつもは「食べるかい?」とその都度尋ねるお気に入りの飴玉をひとり口にほおばった。
それを口の中でころころと転がしながらわたしが空を見上げると、
ザリガニは「ごめんよ、そう気を悪くするなよ」と詫びの言葉をつぶやいた。

彼は、わたしがわがままであること、そして飴玉に関しては
彼に絶対的に寛容で優しいことをよく知っているのだ。



  1. 2014/01/12(日) 21:44:05|
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つづらおり

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それでもやはり道はつづらおりのままだった。

私の車はエンジンブレーキをきかせながら、つらつらと連なる車の列にしがみついていた。

一番前のトラックは走りなれたこの峠道をなかなかに飛ばした。

軽やかで迷いのないその運転は、信号のところで踊り子一座に追いついた。







  1. 2013/11/28(木) 23:11:34|
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老爺

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拍手はぽっかりとあいた穴のなかに放り込まれているようだった。

おめでとう。

90歳の指揮者はまたこうして東京にたっている。




  1. 2013/11/09(土) 18:09:23|
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火星8

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わたしはわたしでばつが悪いなという気持ちを抑えつつ
(結局わたしだって火星人と同じ気持ちなのだ、なぜなら彼が学んだ日本人そのものなのだから)
「こんにちは」と声をかける。
火星人はひと呼吸分おくれたか細い声で「こんにちは」とかえしてくれた。
だが、もちろん目はあわせてくれない。
そういうところまで真似ている。
わたしは高鳴る鼓動をおさえながら部屋に戻った。
慣れたはずの鍵の開閉がどうにもうまくいかないほどには狼狽していたが、「君は火星人だ!」という
わたしの率直な見解を、彼に悟られずに乗り切ることが出来た。わたしは安堵した。

彼はいま、隣の部屋にいない。



  1. 2013/11/06(水) 00:12:08|
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接続

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電車は相互に遅延して、接続をとりやめていた。
この電車に乗って寝むり続けても、川辺の町へはたどり着かない。
地下から顔を出したところがこの電車の終点だ。
車掌のこのアナウンスは、わたしを大いにくつろがせた。
どんなに眠ってしまってもいいのだ。
どんなに眠っても、この電車はわたしを運ばない。
川辺の町には運べない。
そしてそのことがかえってわたしを遠くへと運んだ。



  1. 2013/11/04(月) 15:41:51|
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火星7

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 ある日、わたしはアパートの共用廊下でばったり火星人と出くわした。
彼が部屋を出るタイミングとわたしが部屋に帰るタイミングがぴたりと重なってしまったのだ。
彼はおもむろに鍵をかけている最中だった。
参った、思えば時刻は午後2時半、彼が地球の社会に赴く時間だ。

 火星人は耳にイヤホンをつけていることに勇気を得て、こちらに気づいていないふりをしている。
ともあれそのふりは、いささかわかりやすいものだった。気づかないだなんて、そんな訳はないのだ。
こんなぼろアパートのせまい廊下で、わたしと火星人の距離はたかだか3メートルほどしかない。
火星人もすっかり日本人の行動と情動を学び、日本人に同化している。
それは彼の研究と努力の賜物に違いなかった。



  1. 2013/11/01(金) 23:47:09|
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遠くの方で

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遠くの方で汽笛がなって自分の居場所に気づいてみてもすっかりわたしは参っている。





  1. 2013/10/12(土) 22:01:47|
  2. 写真 ひとこと
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物件探し

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水辺で暮らす他の生物たちはきっと京王線に乗ったことがないのだ。
多摩川の野営テントで練乳ミルクを飲みながら暖をとるぼくらのように、か弱い存在ではないのだ。
ぼくらはまるで京王線があることで、家があること、つまり自らの帰る場所がこの世にあることを
覚えていられる存在のようだった。か弱いというよりも薄情といったところだろうか。

でもそれも今ではとおい昔のことで、ぼくはひさしくあの列車に乗っていない。





  1. 2013/10/09(水) 21:21:28|
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